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むち打ちという言葉に正確な定義があるわけではありませんが、ここでは、交通事故の際、頭が強く振れることで首に発生する異常という程度に考えておきます。
むち打ちを医療機関で診断してもらうと、外傷性頚部症候群、頚部捻挫、頚椎椎間板ヘルニア等の診断名をつけられることとなります。
むち打ちの症状としては、①首の周りの痛み等の首に生じるもの、②手のしびれなど上肢の神経に関するもの、③めまい、耳鳴りなどのいわゆるバレ・リュー症候群と呼ばれるものがよく聞かれます。
このうち、後遺障害として中心的に扱われるのは、②手のしびれなどの上肢の神経に関するものです。他の症状が絶対に後遺障害として扱われないというわけではないのですが、現在の後遺障害認定実務の主流は②です。
では、むち打ちの場合、どのように後遺障害の等級が定められるのでしょうか。
しびれをその症状の中心するむち打ちによる等級は、ほぼ全てにおいて12級、14級、非該当のいずれかとなります。
これらに違いは非常に大きいです。
例えば、後遺障害慰謝料は、12級の場合約290万円、14級の場合約110万円、非該当の場合0円(いずれも裁判所基準)となります。等級認定が、賠償額に大きな影響を与えることがよくわかります。
では、どのような場合に12級や14級と認定されるのでしょうか。
むち打ちの後遺障害等級についての説明は人によって異なるところもありますが、例えば、14級は、「神経系統の障害の存在が医学的に説明可能な場合」であり、12級は「一般論としては神経系統の傷害が他覚的に証明される場合」などと説明されることがあります(財団法人日弁連交通事故相談センター「交通事故損害額算定基準-実務運用と解説-」22訂版参照)。
ただ、この説明だけではどんな場合が14級または12級に該当するのかよく分かりませんので、「14級は自覚症状と神経学的所見が一貫しているような場合で、12級はこれに加えてさらに画像所見がある場合」などというように説明されることも多いです。
しかし、この説明自体かなり専門用語的でわかりにくい上、自覚症状と神経学的所見が一貫していて、さらに画像所見があるからといって必ずしも12級にな該当するものではなく、画像所見があるのに14級にとどまることも十分ありえます。
このように、後遺障害の等級認定がわかりにくくなっているのは、認定基準がその詳細に至るまで明確にされているわけではないためであると考えられます。
後遺障害の等級認定の際、「こんなにつらい思いをしているのにどうして14級しか認定してくれないの?」と思われることがあるかもしれません。
等級認定において問題とされるのは、詐病ではないかという点です。そのため、「こんなにつらい」というのが本当なのか、第三者からみるとわからないというのが大きな問題となります。
神経学的所見や画像所見が重視されるのは、いずれも客観的に明らかであるということにつながるからです。
では、神経学的所見とは何でしょうか。
通常、むち打ちの症状が出た場合、病院では、様々なテストをします。たとえば、「首を横に傾けて上から軽く頭に力を加えてみて、特定の箇所に痛みやしびれを感じるかどうか」とか、「腱をゴムハンマーで叩いて、反射を確かめてみる」とか、握力検査等です。
そして、これらの検査は、当然「神経根や脊髄に異常がある場合、神経学的には検査結果はこうなるはずだ」という結論を踏まえて行うものです。
神経学的所見というのは、実際の検査結果をこのような結論と対比して得られる所見となります。
神経学的所見のなかでも、例えば、握力検査等は、わざと弱く握るといったことが比較的容易なので、重視されにくい一方、腱反射については比較的見せかけをしづらいので重視されやすいなどの傾向があり、これらの検査の組み合わせも、等級認定における神経学的所見の重みに影響するものと考えられています。
他方、後遺障害認定の場面において、画像所見とは、一般的には、MRI画像から得られる所見のことをいいます。
例えば、MRI画像で椎間板の突出が認められる場合、画像所見があるということになります。
画像は客観的な資料であるため、画像所見は基本的に重視されます。
神経学的所見にせよ、画像所見にせよ、これがあれば必ず後遺障害が認められるというものではありません。
その一つの理由は、今回の交通事故によって生じたものかどうかがわからないということです。
画像所見でいえば、通常は交通事故に遭う前に画像を撮影することはないので、現在のMRI画像に椎間板の突出がみられるとして、それが交通事故前からあったものか交通事故によって生じたものかについては、一見してわかるわけではありません。
そのため、ご本人の年齢や、他の部分の椎間板を確認して比較することによって判断していくことになります。しかし、最終的に「どちらかわからない」という結論に至ってしまうこともあります。法律上、損害賠償請求においては、被害者の側が「この椎間板の突出は、今回の交通事故によって生じたものである」ということを立証する必要がありますので、「どちらかわからない」という結論に至ってしまう場合は、最終的に等級が認定されないという結論となります。
もう一つの理由として考えられるのは、画像所見と神経学的所見や自覚症状が一致しないということです。
画像所見で椎間板の突出が見られた場合、神経学的には、痛みやしびれなどが生じる部位を概ね予想することができます。
そのため、例えば、予想される部位とは全く違う場所がしびれている場合には、画像で見られた椎間板の突出としびれは関係がないということがわかってしまいますので、画像所見があっても意味がなくなってしまいます。
以上を踏まえて、当事務所で考える等級認定を受けるために必要なことをご説明いたします。
むち打ち一つを取ってみても、非常に議論は難解です。
弁護士は法律の専門家ではありますが、取り扱っている業務はむち打ちに限られないので、どの程度むち打ちの後遺障害等級認定に精通しているかは弁護士によって様々です。そのため、最終的にいずれかの弁護士に依頼されるにしても、まずはご自身で情報収集を行われることをお勧めいたします。
後遺障害が認定されるかどうかの第一の関門は初診です。
初診時の診断書に自覚症状の記載がなかったために、等級認定がなされなかったという事案があります。初診が交通事故から時間がたちすぎていたために等級認定がなされなかったという事案もあります。
そのため、交通事故に遭いましたら、まずは早急にきちんとした診察を受けるとともに、自覚症状として有るものは全て医師に伝えて診断書に記載してもらうことが重要となります。
後遺障害の等級が認定されるかということと、治療期間は本来的に直接の関連はないのではないかと思われるかもしれませんが、少なくとも6カ月未満の治療期間ではむち打ちの等級認定はなされないというのが当事務所の感覚です。
また、仕事など様々な都合はあると思いますが、治療の間隔が空きすぎると、治療内容によっては全く治療の効果をあげない場合があります。そのため、治療の間隔があきすぎていると、診断書等の証拠が意味のないものとされて、後遺障害が認定されない場合があります。
そのため、適切な頻度で、適切な期間、治療を受けることが必要となります。
等級認定の方法には、事前認定と被害者請求がありますが、被害者請求によることをお勧めいたします。
上記の注意点は最低限のものに過ぎません。医師にどのように診断書を書いてもらうかということなども含めて、さらに注意すべき点が多数ありますので、一度早い段階で弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
また、交通事故の損害賠償については、様々な考慮要素がありますので、弁護士に依頼した方が有利になるか否かは事案によって異なりますが、後遺障害が残るケースでは、損害の計算方法や遅延損害金の問題などの関係で、弁護士費用特約がなかったとしても弁護士に依頼した方が取り分が多額になることは少なくありません。
そのため、弁護士に依頼した方が有利になるかどうかという点も含めて、一度いずれかの段階で弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
※本ページの記載事項は、記載時点における法律、状況等を前提にして記載しております。
当事務所は、富山地方裁判所のほど近くに位置する、法律問題を総合的に取り扱う法律事務所です。電話または予約フォームから法律相談のご予約を受け付けております。
交通事故、債務整理、離婚、遺言・相続など、普通に生活していてもある日突然様々な法律問題に直面してしまうことがあります。
これは企業においても同様であり、契約書作成、労務管理、不動産管理、知的財産管理といった日々の業務に関連する問題に限らず、様々な法律問題が突然起こるということは十分にありえます。
当事務所は、「最高の法的サービスを適正な価格で迅速に提供し、お客様に喜んでもらうこと」を理念として掲げ、お客様の法律問題を未然に防ぐとともに、発生してしまった場合には適切に解決できるよう全力を尽くします。
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