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交通事故で、亡き妻との思い出の車が廃車になってしまいました。慰謝料を請求することはできますか。

物損事故であっても、思い出が詰まった物が壊れてしまうのは大変つらいことです。

そのため、「物が壊れたことで精神的苦痛を被ったので、慰謝料請求をしたい」というお気持ちはよくわかります。

しかし、裁判例上、物が壊れたことを理由とする慰謝料は認められたものはほとんどありません。

では、裁判例を見ていきましょう。

物損を理由とする慰謝料に関する裁判例

ペットに関する裁判例

ペットが死傷したことを物損というのは抵抗がありますが、民法上動物は物として扱われますので、ここでは、物損の一類型としてご紹介いたします。

ペットの場合、民法上は物として扱われますが、愛玩動物として家族同様のかけがえのない存在となっている側面もあります。このような側面を考慮して、ペットが負傷して障害が残ったケースについて、合計40万円の慰謝料の支払いが認められた裁判例もあります(名古屋高判平成20年9月30日)。

ただ、この裁判例は、ペットが家族の一員であることを大きな理由として慰謝料を認めたものですので、ペット以外の動物については必ずしも同様の判断がなされるとは限らないことに注意しなければなりません。

自宅の損壊に関する裁判例

自動車が自宅に衝突したことを理由として慰謝料を認めた裁判例があります(神戸地判平成13年6月22日、大阪地判平成15年7月30日)。

自宅ももちろん物ですが、自宅が損壊すると、修繕のため別の場所で生活をしなければならないなど、生活への影響が大きいことから慰謝料が認められたものと思われます。

ただし、各裁判例を参照しましても、自宅が損壊した場合にはすべて慰謝料を認めるというような理由とはなっておらず、被害者が高齢であることや年末年始の時期に示談交渉が難航していたため修繕できなかったこと等、各事件の個別的な事情を考慮したうえで判決がなされておりますので、他の事例にもあてはまるとは言い難いでしょう。

墓石の損壊に関する裁判例

墓石に自動車が衝突した事件について、慰謝料を認めた裁判例があります(大阪地判平成12年10月12日)。

この裁判例においては、「原則として、物を損壊されたことにより被った精神的苦痛に対する損害賠償は認められないというべきである」ことを確認したうえで、「通常人においても財産的損害が補填されることのみによっては回復されない程度の精神的苦痛を生じるものと認められる場合」に慰謝料請求が認められるとされています。

そして、墓地、墓石が、先祖や個人が眠る場所として、通常その所有者にとって強い敬愛追慕の念を抱く対象になるものであることを理由に、慰謝料を認めております。また、墓石の上に車が乗り上げ、墓石が倒壊した結果、埋設されていた骨壺が露出される状態になったという事故の態様も考慮要素となっているように思われます。

自動車の損壊に関する裁判例

自動車が損壊したことを理由とする慰謝料請求は原則として認められておりません。

しかしながら、例外的に認められた裁判例もございます(仙台地判平成4年11月20日)。この事案においては、被害車両が入手困難な外車であったこと、被害者にとってはもらい事故でありながら加害者が死亡したこと、被害者が事故時にハンドルに手をぶつけたことなどを考慮した上で、慰謝料として20万円の支払いを命じております。

しかしながら、これは非常に珍しいケースであり、一般的には認められないと考えざるを得ないでしょう。

まとめ

上記の通り、物損を理由とする慰謝料請求は、非常に特殊な場合にのみ認められております。

その理由は、特別な事情がない限り、物損事故における損害は物の価値が失われたという財産的損害であり、物の修繕費用や価額等が賠償されれば損害が回復されるので、この他に精神的な損害が発生したと考える余地がないという点にあるといえるでしょう。

このような観点からは、最初に挙げさせていただいた「亡き妻との思い出の車」が廃車になってしまったという物損事故においても、基本的にはそれを理由に慰謝料を認めるということは難しいと言えるでしょう。その理由は、例えば、亡き妻と一緒に生活しているときに購入した車であるとしても、その車が損壊することによって、財産的な損害について賠償を受けるだけでは回復できないほどの精神的苦痛を受けることが通常であるとまではいえないと判断されるからです。

そのため、仮に物損によって精神的にダメージを受けたとしても、交通事故の損害賠償を求める場面では、上記のような特殊な場合でない限りは、他の損害をきちんと主張立証していくのが建設的であるといえるでしょう。

 

※本ページの記載事項は、記載時点における法律、状況等を前提にして記載しております。

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