離婚の準備・証拠の集め方

「離婚をするには証拠が重要」と聞かれることがよくあると思います。

証拠はあるには越したことがありません。しかし、求める結論や事案の内容によって、証拠の重要性は異なります。

日本では、離婚は夫婦の同意があれば行うことができますので、離婚をするに際して必ずしも離婚原因がなければならないわけではありません。

また、離婚に際して決める様々な事柄についても、全て夫婦の意見が一致しているのであれば必ずしも証拠は必要ではありません。

しかし、相手が離婚したくないと言っている場合や、夫婦の双方が親権を求めている場合など、争いがあって、話し合っても合意することができない場合、最終的には証拠によって立証しなければならないことになります。

このように、全ての事件において証拠を集めてから離婚の話し合いに入らなければならないというわけではありません。しかし、夫婦の話し合いが最終的に決裂してしまい、その後で証拠を集めようとしたらもうなくなってしまった、ということもあり得ます。

そのため、証拠を集めることができるのであれば、早い段階で集めておく方が良いでしょう。

離婚の証拠には様々なものがありますが、典型的なものを挙げさせていただきます。

1. 診断書
2. 写真
3. メール・メッセンジャーアプリ（ＬＩＮＥ等）・ＳＭＳのメッセージ
4. 録音データ

暴力を受けた場合によく収集される証拠として、診断書と写真があります。

診断書は、専門家である医師によって診断結果が記載されており、しかも診断の日時が明らかにされますので、有力な証拠となります。他方で、診断名が打撲傷等である場合、どの程度の傷害であったかイメージがつきにくいです。そのため、暴力を受けたという場合には、写真も残しておいた方が良いでしょう。

また、身体的な暴力は振るわないけれども、物に当たる等の行為に及ぶ場合もあります。このような場合、その後に物が散乱した状態になりますので、その状態を写真に撮っておくことも有用です。このような、物に当たったことを示す写真等は、身体的な暴力の証拠と比べるとそこまで重視されないように感じられるかもしれません。しかし、このような写真があれば、普段から暴力的な行動に及んでいる夫（妻）であることが明らかとなりますので、重要な証拠となり得ます（少なくとも、全く証拠がない場合より、離婚が認められやすくなるといえます。）。

不倫の場合、メール・ＬＩＮＥ等のメッセージが証拠となることがよくあります。

メール・ＬＩＮＥ等は、内容によっては重要な証拠となります。例えば、ホテルに行く日程調整をしているメール・ＬＩＮＥ等や、さらに直接的に不貞行為の存在に言及するメール・ＬＩＮＥ等は重要な意味を持ちます。

他方、仲のよさそうなやり取りがあるというだけでは、決定的とまでは言えないことが多いです。

同じように、録音データが証拠とされる場合があります。

たとえば、不倫について問い詰めたところ、これを相手方が認める発言をしたところを録音しておくというようなケースです。録音データの扱いは難しいところですが、まず問題となるのは、仮にそのような発言をしていたとして、その発言は真意によるものかという点です。録音した場合、当然こちら側の発言も録音されることになりますので、無理やり認めさせたような場合には、証拠とはならないことが多いと言えます。

また、録音データを裁判所に提出する場合には反訳文（録音データ中の発言内容を文章に書き起こしたもの。）を添付する必要がありますので、あまり長時間の録音データは、事実上証拠とすることが難しい場合があります。

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