法人の私的整理

私的整理とは、裁判所等の第三者機関の関与を受けずに、債務者と債権者らとの話し合いによって借金問題の解決を図る方法です。

あくまで話し合いですから、話し合いの進め方や合意内容についてルールがあるわけではなく、自由に進めていくことができます。

しかし、債務者と個々の債権者が個別的に話し合うのでは、債権者の側からすると、「他の債権者はもっと良い条件の提示を受けているのでは。」といった懸念が生じます。そして、ひいては債権者との交渉が決裂し、私的整理が失敗に終わってしまう可能性も否定できません。

そこで、

• 債権者の代表者又は債務者が代理人に選任した弁護士が主導して、債権者らが所属する債権者委員会を組織し、集団的な合意の形成を図る。
• 多数の金融機関が債権者となっている、比較的ブランド価値が高く規模が大きい企業については、「私的整理に関するガイドライン」に沿った処理を行う。

といった場合もあります。

また、私的整理は、借金を整理して再び事業を立て直すことを目指す再建型と、法人を清算することを念頭にして行う清算型に分けられます。

私的整理はあくまで当事者間の合意による解決ですから、債務者と債権者らとの間で異論が出ないのであれば、どのような合意に至っても構いません。

破産や民事再生ですと、申立準備の開始から終結までどれだけ短くても半年以上はかかってしまいます。

私的整理であれば、第三者機関が介在しないこともあり、債務者と債権者らとの間で合意ができれば迅速に解決することができます。

破産や民事再生等と異なり、関与するのが債務者と債権者だけですので、その両者が秘密を守れば「あの会社は経営が危ない。」といったうわさが広がるのを防ぐことができます。

私的整理はあくまで話し合いですから、債権者が話し合いを拒否したり、債務者が出した条件を拒んだりしたら、私的整理によって借金問題を解決することはできません。

債権者との間で合意に達することができるよう、経営を見直して合理的な再建計画を立て、返済原資を可能な限り多く捻出することが重要です。

また、その前提として、「そもそも私的整理で経営を立て直すことが本当にできるのか？」ということを吟味する必要があります。

安田総合法律事務所では、法人の事業の状況、資産状況等をお伺いしたうえで、まずは借金問題の解決に最も適した手続をお客様と共に丁寧に検討いたします。

そして、私的整理を選択した場合には、

• 債権者の納得を得られる合理的な再建計画や返済案の作成につき、法律の専門家の視点からお客様にアドバイスする。
• 債権者らに対し、代理人弁護士として法的な見解も示しつつ真摯に交渉し、お客様にとって可能な限り有利な合意の成立を実現する。

等、お客様の借金問題の解決のために全力を尽くします。

※本ページの記載事項は、記載時点における法律、状況等を前提にして記載しております。